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【食品物流の効率化に向けて】物流における現状と入荷工程の自動化

本記事では、食品物流プロセスの効率化を図りたいと考えている方に向けて、物流における現状と課題、食品物流の特徴とをお伝えするとともに、当社からのご提案についてご紹介します。

物流の現状と課題

ここでは、物流業界全体における現状と課題について解説します。

ドライバー不足

現在、物流業界は深刻なドライバー不足に悩まされています。その原因としては、低賃金、長時間労働の2点が挙げられます。

下表のように全産業平均と比較して、年間所得額は低く労働時間は長いという現状で、時給に換算した場合は、全産業平均が約2062円であるのに対して、トラックドライバーが約1250円と、約60%にとどまっています。
労働人口全体の減少が進む一方、長時間労働、低賃金によって、トラックドライバーの不足にはさらに拍車がかかる状況となっています。

労働時間規制

2019年4月に施行された労働者の時間外労働に関する規制で、物流業界に与えられていた5年間の猶予期間が今年の4月に終了しました。
従来、時間外労働時間の上限はありませんでしたが、新たに年960時間という上限が設けられました。
また、拘束時間も1日16時間から15時間に抑えられています。
特に、待機時間や長距離移動の多い物流業界においては、非常に厳しい状況となっています。
そのために、今まで通りの残業ができないことで収入が減り、ドライバー離れていく現象がおこり、これまでのトラックの本数・便数を確保できない状況にあります。

物流量増加

Eコマース、いわゆるネット通販の増加に伴う配送需要が年々拡大しており、トラック輸送への負担が増大しています。
ネット通販の市場規模はコロナ禍の影響を背景とした2019年から2020年に21.7%の大幅な伸びを記録したことも含め、2018年に約9.3兆円だったものが2022年では約14兆円となり5年間で50%以上増加しています。
また、宅配便等取扱個数の推移も2017年から2021年の5年間で16.5%と増加しており小口配送需要が増加していることも物流リソースを圧迫する原因となっています。

これらの原因によって、現時点でも人手不足の状況ですが、それに加えて、ドライバーの高齢化による将来の状況も深刻さを増しています。ドライバーの年齢別就業者は40歳未満が全体の23.9%である一方、50歳以上が48.8%と高齢化が進んでおり、人手不足は年々深刻になっていきます。もし何も対策しない場合の輸送能力不足は2024年度には14%、2030年度には34%に達すると予測されています。入荷・出荷のためのトラックが2/3に減少すると想像してみてください。
これは今のやり方を続けていると、製品の1/3が届けられない、ということになります。

食品物流の特徴と課題

ここでは、物流の中でも食品物流における特徴と課題について解説します。

温度管理

食品は温度に敏感であるため、冷凍、冷蔵、常温の各段階で適切な温度管理が必要です。
特に生鮮食品は、温度管理を怠ると品質が低下しやすいため、厳密なコントロールが求められます。

期限管理

消費期限や賞味期限が設定されているため、迅速な流通が求められます。
これにより、在庫管理や配送スケジュールの正確性が重要です。

衛生管理

食品の安全性を確保するために、衛生管理が厳しく規定されています。
これには、物流センターや配送車両の清潔さ、取り扱い方法の徹底が含まれます。

多品種小口配送

消費者のニーズに応じて、小口の配送が頻繁に行われます。
特にオンライン食品販売の拡大により、迅速な宅配サービスが求められています。

季節変動

季節によって需要が変動するため、柔軟な対応が必要です。
特に繁忙期には、在庫管理や配送計画の調整が重要となります。

このように、食品物流には特有の特徴があり、労働環境の悪化を招きやすく、より人手が集まりにくいという事情があります。また、青果物、水産物、畜産物などの生鮮三品は、その多くが長距離輸送によって生産地から消費地に届けられています。これまで、2日で運べていたものが3日かかることになれば、もちろん品質、鮮度に影響しますので、より効率的な物流プロセスが求められています。短期的に解決できる課題、中長期的な視点で取り組む必要がある課題など、まずはどこから手を付けるべきか、整理したうえで取り組む必要があります。

なんつねからのご提案

段ボール箱の開梱工程自動化

当社が取り扱っている“ABOT(アボット)”は段ボール箱の天面3辺もしくは4辺をカットし、自動で開梱を行う機械です。主な特徴は以下のとおりです。
・最大450箱/時の処理能力
・箱サイズの登録不要、ランダムサイズ投入可能
・切断深度を0.1㎜単位で調整可能

また、先日行われたFOOMA JAPAN2024では、開発中の“SCOT(スコット)”を参考出展しました。
SCOTは、処理能力はそのままに、シンプル機構で国内製造、小型化、コストダウンを実現しており、2025年1月の受注開始を目指して開発を進めております。新しい情報は随時発信いたしますのでご期待ください。

なんつねでは、ABOTやSCOTで対応できないテープ部分のカットを行いたい場合や、箱の形状、サイズ、処理能力など、あらゆるケースに対応いたします。ぜひご相談ください。

開梱の前後工程を含め、入荷工程全体を自動化

開梱のみを自動化しても全体の効率向上効果は限定的です。
入荷工程全体に自動化プロセスを導入することで、効果・効率を飛躍的に向上できるようになります。

前工程として、デパレタイズ~自動投入。
後工程として、フタ取り~中身の取り出し~後工程への連結や空箱廃棄の自動化など、入荷工程全体の自動化もご提案可能です。

包装方法の転換

MAP包装・スキンパック包装など、消費期限の延長や積載効率を向上させることができる包装方法に転換することで、物流効率の向上、最適化につなげることができます。
MAP包装はバリア性のある包装資材を使用し、食品の種類に適合したガスを注入することによって、消費期限を延長させることができる技術です。
食品により効果は様々ですが、精肉製品であれば、ストレッチフィルム包装に比べ、約1週間の消費期限の延長が見込めます。ヨーロッパにおいては、精肉やハム・ソーセージなどは、食品ロス削減のためにMAP包装することが標準化されています。
一方、スキンパック包装は、トレーなどの上に製品を置き、加熱したフィルムを上から被せ、フィルムを製品とトレーに密着させて行う包装方法で、ストレッチフィルム包装に比べ約10~20日間の消費期限の延長を見込む事が出来ます。
これらの包装方法は、現行のストレッチフィルム包装よりも強度が高いという特徴もあり、積み重ねや斜め置きも可能なので、積載効率を向上させることができます。
消費期限の延長、積載効率の向上ができる包装方法に転換することによって、トラックの便数そのものを削減し、物流能力の不足に対応する事ができるようになります。
なんつねでは、これらの包装が可能なスペインULMA社製の包装機の取り扱いも開始しました。
包装方法の転換をご検討のお客様はぜひ、当社にご相談ください。

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